うちのおとんは、いつも言っていた。
「自分は、出会った人々の役に立っているんだろうか?」
今になって思う。
おとんは、自分がどうしたいか、自分がどう幸せになるかということ以上に、誰かの役に立つことを大切にしていたんじゃないだろうか。
誰かのために何かをする。
誰かに喜んでもらう。
誰かの役に立てたと感じる。
そういうことが、巡り巡って、おとん自身の幸福度を上げていたんじゃないかと思う。
そして、その血はきっと、僕の中に強く根づいている。
僕も、お店をやっていると、ふと思うことがある。
自分は、ここに来てくれる人たちの役に立てているんだろうか。
欲しかったグッズに出会えた。
懐かしいカードを見つけた。
思いがけない掘り出し物に出会えた。
そんな小さな喜びを、お客さんに届けられているだろうか。
もちろん、商売だから売上も大切。
お店を続けていくためには、現実的なことも考えなければいけない。
でも、それだけじゃない。
誰かに喜んでもらえたら、僕もうれしい。
そんな気持ちが、僕の中にも確かにある。
おとん、もう亡くなってん。
直接話すことも、ありがとうと伝えることも、もうできない。
それでもね。
自分の血が体の中を駆け巡るたびに、思うんよ。
ああ、おとんは今も、自分の中にしっかりおるんやなって。
考え方や、誰かを思う気持ち。
何気ない日々の中で選ぶ行動。
そういうものの中に、おとんから受け継いだものが生きている。
人は亡くなっても、その人が大切にしていたものまで、なくなってしまうわけじゃないんやね。
僕が誰かの役に立ちたいと思うとき。
お客さんの笑顔をうれしいと感じるとき。
そこには、きっと、おとんから受け継いだものがある。
これからも、僕なりに誰かの役に立てる人間でありたい。
大きなことはできなくてもいい。
目の前の誰かに、ちょっとした喜びを届けられたら、それでいい。
そんな生き方を、少しずつ続けていけたらと思う。
おとん。
僕の中に幸せの見つけ方を残してくれて
ありがとう。
父ちゃんから受け継いだものを
これからも大切にしていくね。
おとん、ありがとね。
とれおふ店主より。
